ディール概要
東証グロース上場のコンサルティング企業INTLOOP株式会社(証券コード9556)は2026年8月3日、デジタルマーケティング領域のコンサルティングを手がけるアンダーワークス株式会社(東京都港区)の株式100.0%を取得し、子会社化することを決定したと発表した。株式譲渡実行日は2026年8月6日を予定している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 買収企業 | INTLOOP株式会社(東証グロース:9556) |
| 対象企業 | アンダーワークス株式会社(東京都港区) |
| 取得株式比率 | 100.0%(発行済株式全数) |
| M&Aスキーム | 株式譲渡 |
| 株式取得価額 | 非公表 |
| 発表日 | 2026年8月3日 |
| 株式譲渡実行日 | 2026年8月6日(予定) |
出典:INTLOOP株式会社公式プレスリリース(2026年8月3日)、M&A Online、M&Aオンライン適時開示データベース
なお、本件の取得価額は非公表となっており、金額面の妥当性を検証できる材料は限られる。一方で、両社の売上規模・収益性は判明しているため、以下ではその数値をもとに取引の位置づけを整理する。
対象企業プロフィール:アンダーワークス株式会社
アンダーワークスは2006年4月、アクセンチュア(旧アンダーセンコンサルティング)出身の田島学氏が創業したデジタルマーケティング専業のコンサルティングファーム。大手事業会社向けに、マーケティング戦略の立案やCX(顧客体験)設計といった上流工程から、MA・CRM・CDPなどマーケティングテクノロジーの選定・導入・運用支援までを一気通貫で手がける。シンガポールにも子会社を有し、日系大手企業のグローバル案件も支援している。資本金は300万円、従業員数は約50名。近年はAI検索対応コンテンツ戦略やAIエージェント導入・業務自動化支援など、マーケティング領域へのAI実装ソリューションも展開している。
財務数値(2026年3月期)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 14億2,000万円 |
| 営業利益 | 1億円 |
| 純資産 | 6億7,100万円 |
黒字かつ健全な財務基盤を持つ企業であり、前述のコメ兵HD×ガレージバンク案件(赤字企業の取得)とは対照的に、収益性のある専門特化企業をそのまま取り込む形のM&Aといえる。
出典:M&A Online「1週間のM&A速報まとめ」(2026年8月3日時点の開示情報に基づく)
買収企業プロフィール:INTLOOP株式会社
INTLOOPは2005年2月設立、東京都港区に本社を置くコンサルティングファーム。正社員コンサルタントと、約5万7,000名(2026年4月末時点)のプロフェッショナルフリーランス人材によるハイブリッド体制を強みに、企業の戦略策定から実行、内製化支援までを一貫して支援する。中長期経営計画「INTLOOP “VISION2030″」のもと、2030年7月期に「先端技術とタレントの統合ソリューションプラットフォーマー」となることを目指している。
直近の業績動向(2026年7月期)
| 項目 | 金額(第3四半期累計) |
|---|---|
| 売上高 | 299億4,500万円(前年同期比+20.8%) |
| 売上総利益 | 89億5,700万円(同+33.2%) |
| 営業利益 | 6億1,000万円(同▲59.7%) |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 1億5,000万円(同▲82.3%) |
売上・売上総利益は過去最高水準で推移する一方、ハイレイヤー人材やデリバリー社員の採用が計画を上回るペースで進んだことにより採用費・人件費が予算を大幅に超過し、営業利益は前年同期比で大きく減少した。これを受けて2026年7月期の通期業績予想は下方修正されている。なお、会社側は2027年7月期について売上高成長率20%超、通期営業利益35億円以上を見込むとしている。
出典:INTLOOP株式会社 2026年7月期第3四半期決算短信・決算説明資料(2026年6月12日)
買収の狙い・シナジー
INTLOOPは株式取得の背景として、企業のDX推進に伴うIT人材不足を課題として捉えつつ、正社員エンジニア・コンサルタントとプロフェッショナルフリーランス人材を組み合わせた独自のハイブリッドモデルで成長してきた経緯を説明している。今回、マーケティング領域を中心とした顧客基盤とマーケティングテクノロジーへの強みを持つアンダーワークスを迎えることで、AIでは代替されにくい上流コンサルティング領域の価値を強化する狙いがある。
具体的なシナジーとして、以下が挙げられている。
- INTLOOPの戦略・ITコンサルティング・PMO事業とアンダーワークスのデジタルマーケティング領域の専門性を融合した、高付加価値なオファリング体制の構築
- 双方の顧客基盤への相互クロスセルによる売上拡大(大規模・高収益案件の獲得)
- INTLOOPの人材プラットフォーム(正社員・フリーランス・ビジネスパートナーネットワーク)を活用した、アンダーワークスのデリバリーリソース供給力の強化
- アンダーワークスの知見を凝縮した業務特化型AIエージェント・AI BPOの展開による、人月型モデルに依存しないスケーラブルな収益機会の創出
- 上場会社グループとしての信用力を活かした取引拡大、人材の共同採用、経営管理体制の強化
出典:INTLOOP株式会社公式プレスリリース(2026年8月3日)
今後の展望
アンダーワークス代表の田島学氏は、AIエージェント時代を見据え、20年にわたり培ってきた上流コンサルティングの知見をより多くの企業に届けるためINTLOOPグループへの参画を決断したとコメントしている。INTLOOP代表の林博文氏も、アンダーワークスが持つ顧客基盤と知見を「AIセントリックなマーケティングを実装する上での起点」と位置付けており、双方の統合を通じた成長加速に期待を示している。
INTLOOPにとっては、2026年7月期に採用費先行で営業利益が圧迫される中でのM&Aとなるが、会社側は2027年7月期に向けて増強した人的資本の活用とAIセントリックな運営体制への移行により収益性を回復させる方針を示しており、アンダーワークスの取り込みがマーケティング/マーケティングテクノロジー領域における事業基盤拡張の一手として、この収益回復シナリオにどう寄与していくかが今後の焦点となる。
主な参考情報源
- INTLOOP株式会社 公式プレスリリース「デジタルマーケティング領域において高い専門性と豊富な実績を持つアンダーワークス株式会社の株式を取得」(2026年8月3日)
- M&A Online「INTLOOP、デジタルマーケティング領域コンサルのアンダーワークスを子会社化」
- 日本M&Aセンター「INTLOOPがデジタルマーケティング支援のアンダーワークスを子会社化へ」
- 財経新聞(2026年8月4日)
- 日本経済新聞 適時開示情報(2026年8月3日付)
- INTLOOP株式会社 2026年7月期第3四半期決算短信・決算説明資料(2026年6月12日)