スマサポ、日用雑貨のトレードワンを7億8,600万円で子会社化 ―入居者アプリ「totono」を起点にD2C事業へ進出

ディール概要

東証グロース上場で不動産管理会社向けのDXソリューションを展開する株式会社スマサポ(証券コード9342)は、日用雑貨品の企画・製造・販売を手がける株式会社トレードワン(愛知県あま市)の発行済株式100%を取得し、子会社化することを決定した。取得価額は7億8,600万円、取得予定日は2026年9月7日。なお、トレードワンの100%子会社である株式会社ワカマツも、スマサポの連結孫会社として同時にグループ入りする。

項目内容
買収企業株式会社スマサポ(東証グロース:9342)
対象企業株式会社トレードワン(愛知県あま市)
取得株式比率100%(発行済株式全数)
取得価額7億8,600万円
取得予定日2026年9月7日
付随的な子会社化トレードワンの子会社・株式会社ワカマツも孫会社化

出典:日本M&Aセンター「スマサポが日用雑貨企画製造のトレードワンを子会社化へ」(https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260807_9342-41/)、M&A Online「スマサポ<9342>、日用雑貨品企画・販売のトレードワンを子会社化」(https://maonline.jp/news/20260807e)

対象企業プロフィール:株式会社トレードワン

トレードワンは愛知県あま市に本社を置く企業で、日用雑貨品の企画・販売を主力事業とし、卸売を中心とした幅広い販売チャネルを有する。商品の企画開発から仕入・物流に至るサプライチェーンを自社で構築している点が特徴で、防災グッズや生活雑貨などをスマサポとの提携を通じてD2C(消費者直接取引)チャネルに展開していく計画の中核を担う。

財務数値(2026年2月期)

項目金額
売上高20億4,000万円
営業利益1億2,600万円
純資産4億400万円

売上高営業利益率は約6.2%。年商20億円規模の中堅日用雑貨企業であり、今回買収するスマサポ(2025年10-6月期累計売上高21億4,500万円)とほぼ同規模の売上高を持つ企業を取り込む格好となる。

出典:コトラ「スマサポ、日用雑貨品企画・販売のトレードワンを子会社化」(https://ma.kotora.jp/archives/ma-news/ma-news-5722)、M&A Online「スマサポ<9342>、日用雑貨品企画・販売のトレードワンを子会社化」(https://maonline.jp/news/20260807e)

バリュエーションの目安(単純計算)

  • 取得価額(7億8,600万円)/直近売上高(20億4,000万円):約0.39倍(PSR相当)
  • 取得価額(7億8,600万円)/純資産(4億400万円):約1.95倍(PBR相当)
  • 取得価額(7億8,600万円)/営業利益(1億2,600万円):約6.2倍(PER類似の簡易倍率)

営業利益倍率で見ると6倍程度と、中小企業のM&A(一般的に3〜10倍程度とされることが多い)としては標準的なレンジに収まる印象である。ただし、これは開示された財務数値からの単純計算であり、のれん・EBITDA等の詳細な算定根拠は非公表のため、実際のバリュエーション手法は不明である。

買収企業プロフィール:株式会社スマサポ

スマサポは2022年12月に東証グロース市場へ上場した企業で、管理会社と入居者間のコミュニケーションを最適化する入居者アプリ「totono」を中核サービスとする。賃貸物件の入居者向けにネット回線案内などを行う「スマサポサンキューコール」による紹介手数料が収益の柱の一つとなっている。

直近の業績動向(2026年9月期第3四半期累計、単独決算)

項目金額(前年同期比)
売上高21億4,500万円(▲2.1%)
営業利益1億2,400万円(▲36.4%)
経常利益1億2,500万円(▲35.9%)
税引き利益7,800万円(▲52.4%)

事業譲受に伴う費用やAI分野への研究開発投資など、成長に向けた先行投資を継続したことにより減益となっている。一方で、2026年9月期通期の会社予想は据え置かれており、売上高31億5,000万円(前期比+11.9%)、営業利益2億3,000万円(同+21.1%)、経常利益2億3,000万円(同+20.4%)を見込んでいる。

出典:日本経済新聞「スマサポの25年10月〜26年6月期、税引き利益52.4%減 通期予想据え置き」(https://www.nikkei.com/article/DGXZRST0511685W6A800C2000000/)

なお、スマサポは今回のトレードワン案件に先立ち、2026年7月にも岩谷産業・岩谷設備システムから「イワタニハウス」ブランドの戸建住宅向けアフターサービス関連業務を譲受・提携しており、賃貸領域から戸建領域への展開も進めている最中である。今回のトレードワン子会社化と合わせ、事業ポートフォリオの拡張を積極化させている局面にあるといえる。

出典:株予報Pro「スマサポ:岩谷産業から業務譲受&提携、賃貸から戸建て領域進出の意味合いは大きい」(https://kabuyoho.jp/reportTop?bcode=9342)

買収の狙い

両社の発表によれば、本件株式取得の目的は新たなD2C(Direct to Consumer)事業の展開にある。スマサポが「totono」を通じて保有する入居者との接点と、トレードワンが持つ製造・商品企画力および調達力を融合させる狙いだ。

具体的には、引越し直後の入居者が抱える購買ニーズに対し、「totono」を独自のD2Cチャネルとして活用し、防災グッズや生活利便性を高める日用雑貨等を直接提案する計画。加えて、アプリが保有する属性データや居住データを活用したパーソナライズ提案、アプリ内での限定販売などを通じて、入居者満足度の最大化を図るとしている。

出典:日本M&Aセンター「スマサポが日用雑貨企画製造のトレードワンを子会社化へ」(https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260807_9342-41/)

今後の展望

スマサポにとって本件は、不動産管理会社向けのDXソリューション(BtoB)という従来の事業領域から一歩踏み出し、入居者(BtoC)に直接アプローチするD2C事業へ進出する試金石となる。「totono」というアプリ基盤上に新たな収益源を積み上げる構想であり、成功すれば入居者アプリの収益モデルの多様化・高付加価値化につながる可能性がある。

一方で、スマサポは2026年9月期第3四半期時点で減益基調にあり、先行投資フェーズが続いている。トレードワンの子会社化費用や統合コストが短期的な収益にどう影響するか、そして「totono」経由のD2C提案がどの程度の実需を生み出せるかが、今後の業績を見る上でのポイントとなりそうだ。取得予定日(2026年9月7日)以降の四半期決算での開示が注目される。


主な参考情報源

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