情報戦略テクノロジー、ソフト開発のFlybyを最大8億3,000万円で子会社化 ―「0次DX」戦略、初のM&Aから半年で早くも3件目

ディール概要

システム開発・ITコンサルティングを手がける情報戦略テクノロジー株式会社(東証グロース:155A)は2026年8月13日、ソフトウェア開発・ITコンサルティング・運用保守サービスを手がける株式会社Flyby(東京都)、および同社の親会社で代表取締役・伊藤一記氏の資産管理会社である株式会社Flyby Management(東京都文京区)の株式を取得し、両社を子会社化することを決議、同日付で契約を締結した。取得構造は、まずFlyby Managementの全株式を取得することでFlyby株式の80.9%を間接保有し、さらにFlyby Managementの保有分以外の株式(最大42株)を直接取得することで、最終的にFlyby株式の議決権所有割合を最大100.0%とするもの。株式取得実行は2027年1月を予定している。

項目内容
買収企業情報戦略テクノロジー株式会社(東証グロース:155A)
対象企業株式会社Flyby/株式会社Flyby Management(Flybyの親会社)
取得構造Flyby Management全株式取得(間接保有80.9%)+Flyby株式最大42株の直接取得(最大19.1%)=最大100.0%
取得価額Flyby Management 6億7,100万円+Flyby分最大1億5,800万円+アドバイザリー費用等150万円=最大約8億3,050万円
取締役会決議・契約締結日2026年8月13日
株式取得実行日2027年1月(予定)

出典:M&A Online「情報戦略テクノロジー<155A>、ソフト開発・ITコンサルのFlybyを子会社化」(2026年8月13日)https://maonline.jp/news/20260813b / note(モリタマナヴ)「売上3.9億 営利1.19億ソフトウェア開発会社Flybyを最大8.3億円でM&A|情報戦略テクノロジーが株式会社Flybyを子会社化」https://note.com/manav_/n/n0844a92960af

対象企業プロフィール:株式会社Flyby

Flybyは、上流のITコンサルティング、アジャイル開発、運用保守サービスを手がけるソフトウェア開発企業。2020年12月に共同創業者として参画した伊藤一記氏(デロイト トーマツ コンサルティング出身、複数業界のIT戦略立案・アジャイル変革・IT内製化プロジェクトに従事)が2025年2月に代表取締役に就任し、経営体制を再編。同時期に社名を「株式会社Undershaft」から現社名「株式会社Flyby」に変更した経緯を持つ。アルバック販売、SUMCO、BIPROGY(旧ユニシス)、ローム、TERASSなど大手・中堅企業を中心とした多数の取引実績を有する。

財務数値(2025年11月期実績)

項目金額
売上高3億9,300万円
営業利益1億1,900万円
当期純利益8,400万円

売上高営業利益率は約30.3%と極めて高い水準にあり、上流コンサルティング領域を中心とした高付加価値・高収益なビジネスモデルであることがうかがえる。

出典:note(モリタマナヴ)「売上3.9億 営利1.19億ソフトウェア開発会社Flybyを最大8.3億円でM&A|情報戦略テクノロジーが株式会社Flybyを子会社化」https://note.com/manav_/n/n0844a92960af

バリュエーションの目安(単純計算)

  • 取得価額(最大8億3,050万円)/直近売上高(3億9,300万円):約2.1倍(PSR相当)
  • 取得価額(最大8億3,050万円)/直近営業利益(1億1,900万円):約7.0倍

営業利益倍率7倍程度は、IT・ソフトウェア業界のM&Aとしては標準的なレンジに収まる印象である。ただし、これは開示財務数値からの単純計算であり、EBITDAベースでの算定根拠や、Flyby Managementという資産管理会社を経由する取得構造の税務・スキーム上の背景については非公表情報からは詳細を確認できない。

買収企業プロフィール:情報戦略テクノロジー株式会社

情報戦略テクノロジーは、多重下請け構造によらず顧客企業と直接向き合う独自モデル「0次DX」を掲げ、大手企業向けの内製化支援サービスを主軸とするITサービス企業。従来のSES型・人月ビジネスを中心とした「0次システム開発」により16期連続増収という実績を築いてきたが、近年は「0次コンサル」「0次LAB」など、上流のソリューション型営業へ事業の重心をシフトさせている。

財務数値(2025年12月期実績)

項目金額前期比
売上高80億1,957万円+37.1%
営業利益5億5,317万円+33.9%
経常利益5億3,293万円+34.4%
当期純利益3億431万円+11.4%

売上高は通期計画比107.4%と予測を大幅に上回った。2025年12月期は、DXプラットフォーム「WhiteBox」を運営する子会社WhiteBox社を新設分割で立ち上げ初年度から黒字化を達成したほか、初のM&Aとしてインフラ領域に強みを持つ株式会社エー・ケー・プラスの株式を取得し、増収増益でPMI(統合プロセス)を進めた。

2026年12月期第1四半期実績(2026年1〜3月)

項目金額前年同期比
売上高23億800万円+44.2%
売上総利益6億3,100万円+39.9%
経常利益2億1,000万円+4.4倍
純利益1億2,900万円+6.7倍

通期経常利益計画7億3,000万円に対する進捗率は29.8%で、過去3年平均の20.1%を上回るペースとなっている。同四半期には、4月に株式会社ピープルドットの株式取得も実施しており、M&Aによる事業拡大を継続的に進めている。

出典:IR note(情報戦略テクノロジー公式)「2026年12月期第1四半期決算情報」https://note.com/istech_ir/n/n2501579cd168 / IR note「2025年12月期通期決算情報」https://note.com/istech_ir/n/n069af0a8c190 / IRTV「[情報戦略テクノロジー 155A] 主事業の『大手企業向け内製支援サービス』が引き続き過去最高の増収を達成」https://irtv.jp/channel/22088 / 株探ニュース「情報戦略テク、1-3月期(1Q)経常は4.4倍増益で着地」(2026年5月14日)https://minkabu.jp/stock/155A/news/4513491

取得価額(最大8億3,050万円)は、情報戦略テクノロジーの2025年12月期営業利益(5億5,317万円)の約1.5倍に相当する規模で、同社の急成長する事業規模からすれば無理のない範囲の投資と位置づけられる。

買収の狙い

情報戦略テクノロジーがFlyby・Flyby Managementを取得する狙いは、Flybyが持つ上流ITコンサルティング、アジャイル開発、運用保守機能を取り込み、同社の掲げる「0次DX」によるDX内製化支援サービスの提供体制を強化することにある。情報戦略テクノロジー自身が2026年12月期第1四半期の時点で「0次コンサル」「0次LAB」など上流ソリューション型の受注が全体の75%を占めるまでにシフトが進んでいることからも、Flybyの持つ上流コンサルティング機能・アジャイル開発力は、同社の戦略転換を加速させるピースとして位置づけられていると考えられる。

出典:note(モリタマナヴ)「売上3.9億 営利1.19億ソフトウェア開発会社Flybyを最大8.3億円でM&A|情報戦略テクノロジーが株式会社Flybyを子会社化」https://note.com/manav_/n/n0844a92960af / ログミーファイナンス「情報戦略テクノロジー(155A)、1Q売上高44.2%増で過去最高を更新 新規顧客開拓と0次LABが成長を牽引」https://finance.logmi.jp/articles/384924

今後の展望

本稿執筆時点(2026年8月16日)で、本件は2027年1月の株式取得実行を待つ段階にある。情報戦略テクノロジーにとっては、2025年12月期のエー・ケー・プラス社(初のM&A)、2026年4月のピープルドット社に続く、少なくとも3件目のM&A案件となる。同社IR資料は「今後もシナジーの見込める企業との連携を進め、『DXの総合商社』としての成長スピードを引き上げてまいります」とコメントしており、積極的なM&A戦略を継続する方針を明確にしている。

情報戦略テクノロジーは通期の経常利益計画に対して高い進捗率で推移しており、Flybyの取り込みが「人月依存モデルからソリューションビジネスへ」という同社の戦略転換にどの程度寄与するか、2027年1月の株式取得実行後の連結業績への影響も含め、今後の決算開示が注目される。


主な参考情報源

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