GENDAの「連続M&A」は企業価値を何倍にするのか――2031年を予測する
公開日:2026年9月6日
M&Aには、2種類ある。
ひとつは、
「この会社を買いたい」
というM&A。
もうひとつは、
「M&Aを繰り返して、会社そのものを大きくする」
というM&Aです。
今回取り上げる株式会社GENDAは、明らかに後者です。
GENDAは2018年5月の創業以来、アミューズメント施設を中心にM&Aを繰り返してきました。
2026年8月時点で、GENDAは創業以来60件以上のM&Aを実施したと説明しています。
2026年1月期だけでもM&Aは26件。
その結果、2026年1月末の連結子会社数は45社となり、売上高は1,707億8,700万円、調整後EBITDAは228億3,900万円まで拡大しました。
そしてGENDAは、2040年に、
「世界一のエンターテイメント企業」
になることを目標に掲げています。
では、ここで問題です。
GENDAのM&Aは、5年後にどうなっているのか?
2026年9月から5年後。
2031年。
GENDAは、
- 売上高
- EBITDA
- 店舗数
- 海外売上
- 企業価値
- 時価総額
をどこまで拡大しているのでしょうか。
そして、もっと重要なのは、
「M&Aを繰り返すことによって、本当に1株当たりの企業価値は増えているのか?」
です。
Exiter.jpでは、今回から新シリーズ、
「このM&A、5年後どうなっている?」
をスタートします。
第1回はGENDAです。
1.まず、GENDAはどんな会社なのか?
GENDAは2018年5月設立。
現在の代表取締役社長CEOは片岡尚氏です。
東証グロース市場に上場しており、証券コードは9166です。
GENDAが現在展開する事業は、もはや「ゲームセンター」だけではありません。
会社自身は、
- アミューズメント
- カラオケ
- ライフスタイル
- ツーリズム
- フード&ビバレッジ
- キャラクター・マーチャンダイジング
- コンテンツ&プロモーション
などを展開していると説明しています。
2026年8月時点では、
約1,100店舗
を運営。
さらに、
ミニロケ:約13,000箇所
を展開しています。
つまり、GENDAはすでに、
「ゲームセンター会社」から「エンターテインメント・プラットフォーム会社」へ変貌している
と考えた方が分かりやすいでしょう。
2.数字を見ると、GENDAの変化がよく分かる
GENDAの売上高を追ってみます。
| 決算期 | 売上高 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2024年1月期 | 556.97億円 | ― |
| 2025年1月期 | 1,117.77億円 | +100.7% |
| 2026年1月期 | 1,707.87億円 | +52.7% |
| 2027年1月期会社予想 | 2,150.00億円 | +25.8% |
出所:GENDA決算資料・決算短信。
わずか3年間で、
556.97億円 → 2,150億円
を目指しています。
約3.9倍です。
これがGENDAのM&A戦略の威力です。
3.しかし「売上が増えた=M&A成功」ではない
ここが今回の記事の核心です。
2026年1月期を見ると、
売上高:
1,707億8,700万円
営業利益:
76億9,500万円
調整後営業利益:
133億5,500万円
調整後EBITDA:
228億3,900万円
調整後当期純利益:
92億7,600万円
でした。
前年同期比では、
- 売上高:+52.7%
- 調整後EBITDA:+48.6%
- 調整後営業利益:+27.3%
- 調整後当期純利益:+53.5%
です。
一方で、営業利益は前年比2.7%減でした。
なぜでしょうか。
M&Aを大量に実施したからです。
2026年1月期のM&A関連費用は、
営業費用:17億4,100万円
営業外費用:2億5,800万円
合計:
19億9,900万円
でした。
さらに、のれん・無形資産の償却も利益を押し下げます。
つまり、
M&Aによって売上は急拡大しているが、会計上の利益は必ずしも同じ速度では増えていない。
ここがGENDAの最大の論点です。
4.2026年1月期だけで「26件」のM&A
GENDAの2026年1月期は、M&Aを考える上で非常に重要な1年でした。
M&A件数:
26件
新たに連結子会社となった会社:
15社
2026年1月末の連結子会社:
45社
です。
これだけのスピードで会社を買収すると、当然ながらPMIが問題になります。
「買うこと」よりも、
「買った会社をどう統合するか」
の方が難しくなるからです。
5.GENDA最大級のM&A「PLAYER ONE」
GENDAの連続M&Aを象徴する案件が、北米のPLAYER ONEです。
2025年4月9日、GENDAは、グループ会社Kiddletonを通じて、北米のPLAYER ONEの親会社Pixel Intermediate Holding Corporationの株式**100%**を取得すると発表しました。
PLAYER ONEが加わることで、
ゲームセンター104店舗
ミニロケ約2,000箇所
がGENDAグループに加わりました。
さらに2027年1月期の北米売上高は、
約3億米ドル
日本円換算で、
約440億円
規模になるとGENDAは試算しました。
6.PLAYER ONEの買収価格は約170億円
PLAYER ONEについてGENDAが開示したEV/EBITDAは、
8.5倍
でした。
GENDA自身も、国内の過去案件と比較して「相対的に高い」と認めています。
一方、GENDAは北米市場の成長率や、日本発IPを北米に展開するプラットフォームとしての戦略的価値を考えれば妥当と説明しています。
外部分析資料では、PLAYER ONEについて、
初期投資額:
約170億円
2025年売上計画:
180億円
2026年:
200億円
2027年:
210億円
2028年:
220億円
とする試算が示されています。
EBITDAについても、
2025年:
22億円
2026年:
28億円
2027年:
32億円
2028年:
35億円
という成長シナリオでした。
これは非常に重要な数字です。
なぜなら、GENDAのM&Aが、
「売上を買っているだけ」
なのか、
「EBITDAを買っている」
のかを判断できるからです。
7.しかしPLAYER ONEでは「M&A後の問題」も発生した
GENDAのM&Aを評価する上で、ここは絶対に避けてはいけません。
GENDA自身が2026年に公開したFAQによると、北米事業ではPLAYER ONEのオペレーションを他社に統一したことで問題が発生しました。
NENの約200人のラウンダーが、
- 店舗巡回
- 景品補充
- 銀行入金
などに時間を取られ、景品補充のための巡回頻度が4割減少したと説明しています。
つまり、
買収そのものは成功しても、PMIで失敗する可能性がある。
これはGENDAだけではなく、すべてのM&Aに共通する重要なポイントです。
その後、GENDAは問題の原因を特定し、業務ルールを変更。
さらにAI業務アプリ「Kiddleton Force」を導入し、景品補充ルートなどの効率化を進めています。
8.GENDAは「買って終わり」ではない
GENDAの面白いところは、M&Aした会社同士をさらに統合していくことです。
例えば北米事業では、2024年以降、
- NEN
- PLAYER ONE
- VENU+
- Barberio
- Newo
などを相次いで取り込みました。
そして2025年9月には北米事業を統括するGENDA Americasを設立。
北米の14社を3社に集約する方針を示しました。
これは典型的な、
ロールアップ型M&A
です。
9.さらにVENU+から約1,100拠点を取得
2025年6月11日、GENDAは米国VENUplusからミニロケ事業約1,100箇所を取得すると発表しました。
単純に考えれば、
NENのネットワーク
+
PLAYER ONE
+
VENU+
という形で、北米の設置拠点を急速に拡大できます。
ここにGENDAが持つ日本IPを投入する。
これがGENDAのM&A戦略です。
10.GENDAは「店舗」を買っているのではない
ここでGENDAのM&A戦略を一段深く考えてみます。
GENDAが買っているものは、
ゲームセンター
だけではありません。
実際には、
① 店舗
顧客が来る場所。
② 顧客
エンターテインメントを消費する人。
③ 商圏
店舗が存在する地域。
④ 景品販売網
キャラクター商品を売る場所。
⑤ IPの接点
アニメ・ゲーム・映画・キャラクターをファンに届ける場所。
⑥ データ
どの商品が、どの地域で、どれだけ売れるのか。
⑦ 海外ネットワーク
日本IPを海外に展開するためのインフラ。
です。
したがってGENDAのM&Aを単純な「売上高の買収」と考えると、本質を見誤ります。
11.2026年には「サンリオ」と提携
この戦略を象徴するのが2026年8月24日のサンリオとの業務提携です。
GENDAは2026年8月24日、サンリオとの業務提携を発表。
GENDAの国内外14,000箇所強のエンタメ・プラットフォームを活用して、サンリオキャラクターの限定景品を世界展開するとしています。
つまり、
M&Aで販売網を作る
↓
IP企業と提携する
↓
その販売網にIP商品を流す
というビジネスモデルです。
これは非常に面白い。
12.さらに「サイバーエージェント」とも提携
2026年8月26日には、サイバーエージェントとのパートナーシップ契約を発表しました。
内容は、
- ポップアップイベント
- キャンペーン
- アニメIPの商品企画
- マーチャンダイジング
- 海外プロモーション
などです。
わずか2日間で、
8月24日:サンリオ
8月26日:サイバーエージェント
との提携。
GENDAが目指しているのは、
「ゲームセンターのロールアップ」
から、
「世界規模のエンタメ・プラットフォーム」
への進化だと考えられます。
13.2026年7月にはSBIとも資本業務提携
さらに2026年7月29日。
GENDAはSBIホールディングスとの資本業務提携を発表しました。
GENDAは2040年に「世界一のエンターテイメント企業」を目指しています。
そしてSBIは金融・投資・海外ネットワークを持つ企業です。
今後、
M&A資金調達
金融
海外展開
などでSBIとの関係がどう生きるのかも注目です。
GENDAの成長戦略が、
「M&Aだけ」
ではなく、
M&A+金融+IP+海外
へ広がっていることが分かります。
14.しかし、GENDAはM&Aを「厳選」し始めた
ここは今回の記事で非常に重要です。
GENDAは2026年7月31日、M&A件数が減少した理由について、
M&A対象を中核事業に限定し、非中核案件を選別する方針に転換した
と説明しました。
また、今後は株式発行に過度に依存せず、
フリーキャッシュフロー+借入
を活用してM&Aを継続する方針です。
さらに2026年8月18日には、創業以来のM&Aが60件以上に達したと説明。
取得だけでなく、非中核事業の売却も行い、資金と人員を中核事業に振り向ける方針を示しました。
これは非常に重要な変化です。
15.GENDAは「何でも買う会社」ではなくなった
初期のGENDA:
とにかくM&Aで規模を拡大する
↓
現在のGENDA:
中核事業に集中し、買収と売却を組み合わせて資本効率を高める
という方向に変わっています。
この変化を私は、
「M&A第2ステージ」
と考えます。
16.2027年1月期の会社予想
2026年3月12日に発表された2027年1月期の会社予想は、
| 指標 | 2027年1月期予想 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,150億円 | +25.8% |
| 調整後EBITDA | 300億円 | +31.3% |
| 調整後当期純利益 | 106億円 | +12.7% |
です。
2026年6月10日の第1四半期決算では、
売上高:
497億200万円
前年同期比:
+45.0%
となりました。
一方、
営業利益:
2億8,800万円
前年同期比:
▲79.2%
親会社株主帰属四半期純利益:
▲7億5,200万円
でした。
この数字だけを見ると、
「M&Aで売上は増えたが、利益が付いてきていない」
ようにも見えます。
ただし、GENDAの場合、M&A関連費用やのれん償却などが大きいため、調整後EBITDAを見る必要があります。
17.現在のGENDAの企業価値は?
2026年9月4日のGENDA株価は、
735円
でした。
同日の時価総額は、
約1,384.6億円
です。
発行済株式数は、
1億8,837万8,582株
とされています。
2026年9月4日の株価推移を見ると、
始値:
731円
高値:
744円
安値:
718円
終値:
735円
出来高:
94万5,300株
でした。
ちなみに年初来高値は、
873円(2026年1月19日)
年初来安値は、
455円(2026年5月20日)
です。
つまり、GENDAの株価は2026年だけでもかなり大きく変動しています。
18.GENDAの現在の財務は「借入を使ってM&Aする」段階
GENDAはM&A資金のために借入も活用しています。
2026年1月期末では、
現金及び預金:
321.61億円
有利子負債:
約873億円
純資産:
651.81億円
でした。
GENDAは2026年4月時点で、
Net Debt / EBITDA=2.7倍
と説明。
3.0倍程度までの借入余力があるとしています。
これは、GENDAが今後もM&Aを続ける余力を持っていることを意味します。
しかし同時に、
借入金が増えれば金利負担も増える
ということです。
実際、2026年1月期の支払利息は前年の6億7,900万円から15億6,600万円へ増加しています。
19.ここからが本題――2031年を予測する
では、GENDAの5年後を予測します。
私は3つのシナリオを設定します。
【弱気シナリオ】
「M&A疲れ」シナリオ
M&Aは続く。
しかし、
- PMIの遅れ
- 海外事業の低収益
- 金利負担
- のれん償却
- 人材不足
- 株式希薄化
などによって利益成長が鈍化。
2031年の予測:
| 指標 | 2027年予想 | 2031年弱気 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,150億円 | 2,800億円 |
| EBITDA | 300億円 | 330億円 |
| EBITDA率 | 約14.0% | 約11.8% |
| 時価総額 | 約1,385億円 | 約1,200~1,500億円 |
この場合、
売上は増えるが、企業価値はほとんど増えない
可能性があります。
これがGENDAにとって最大の失敗パターンです。
20.【標準シナリオ】
私はこれが最も可能性が高いと考えます。
M&A件数は以前より減少。
しかし、
- 国内アミューズメント
- カラオケ
- 北米
- キャラクターMD
- IP
- F&B
- コンテンツ
を組み合わせることで、M&A後の収益性が改善。
2031年:
| 指標 | 2027年予想 | 2031年予測 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,150億円 | 3,800億円 |
| EBITDA | 300億円 | 550億円 |
| EBITDA率 | 14.0% | 14.5% |
| 時価総額 | 約1,385億円 | 3,000~4,000億円 |
というシナリオです。
売上高は約1.77倍。
EBITDAは約1.83倍。
企業価値は約2.2~2.9倍。
これが私の「標準シナリオ」です。
21.【強気シナリオ】
そして、GENDAが本当に「世界一のエンターテイメント企業」を目指すなら、これもあり得ます。
条件は、
① 北米M&Aが成功
PLAYER ONE、NEN、VENU+などの統合が進む。
② 日本IPが海外でヒット
サンリオ、アニメ、映画、ゲームなどのIPをGENDAのネットワークに投入。
③ M&A対象の利益率が改善
単純な売上拡大ではなく、EBITDAを増やす。
④ M&Aの資金調達が改善
借入+FCF中心で、株式希薄化を抑える。
⑤ 非中核事業を売却
資本効率を上げる。
これが実現すると、
| 指標 | 2027年予想 | 2031年強気 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,150億円 | 4,500~5,000億円 |
| EBITDA | 300億円 | 700~800億円 |
| EBITDA率 | 14.0% | 約15~16% |
| 時価総額 | 約1,385億円 | 4,500~6,000億円 |
も視野に入ります。
22.では、5年後の株価はいくらになるのか?
ここでは現在の発行済株式数、
約1億8,838万株
が大きく変わらないと仮定します。
これは重要な仮定です。
時価総額3,000億円
約:
1,592円/株
時価総額4,000億円
約:
2,123円/株
時価総額5,000億円
約:
2,654円/株
となります。
ただし、GENDAが今後M&Aのために増資を行えば、1株当たり価値は変わります。
したがって、
「企業価値が2倍になった=株価も2倍」
とは限りません。
ここはGENDAを評価する上で極めて重要です。
23.GENDA最大のリスクは「M&A依存」
GENDAの最大の強みはM&A。
しかし、同時に最大のリスクもM&Aです。
なぜなら、
M&Aを止めると成長率が下がる
可能性があるからです。
2026年1月期の売上高は、
1,117.77億円 → 1,707.87億円
へ増加。
しかし、その背景には26件のM&Aがあります。
つまり、
「既存事業が自然に52.7%成長した」
わけではありません。
24.だからGENDAは「M&Aなしでも成長できる会社」になれるか?
これが2031年に向けた最大のテーマです。
M&Aで、
100億円の会社を買う
↓
GENDAに統合
↓
シナジーで110億円
↓
翌年さらに買う
というだけでは、いつか限界が来ます。
重要なのは、
買収した企業が、買収後に自律的に成長すること。
さらに、
GENDAに買われたことで利益率が上昇すること。
ここまでできれば、M&Aは非常に強力です。
25.「M&Aの数」ではなく「M&AのROIC」を見るべき
今後、GENDAを見る際には、
「今年何社買った?」
という数字だけでは不十分です。
Exiter.jpでは、今後GENDAについて、
M&A投資額
↓
EBITDA増加額
↓
FCF増加額
↓
ROIC
を追いかけるべきだと考えます。
例えば、
100億円を投資。
↓
年間EBITDAが20億円増加。
なら、
単純なEBITDAベースでは、
20%
です。
逆に100億円を投資して、
EBITDAが5億円しか増えないなら、
5%
です。
この差が、5年後のGENDAを大きく変えます。
26.Exiterが注目する「5つのKPI」
今後5年間、GENDAを見るときには、この5つを追跡します。
KPI① M&A件数
2026年1月期:
26件
今後、何件になるか。
KPI② 売上高
2026年1月期:
1,707.9億円
2027年1月期予想:
2,150億円
2031年:
3,800億円前後を予測
KPI③ 調整後EBITDA
2026年1月期:
228.4億円
2027年1月期予想:
300億円
2031年:
550億円前後を予測
KPI④ Net Debt / EBITDA
現在:
2.7倍前後
これが3倍を大きく超えていけば、M&A資金調達に制約が出てくる可能性があります。
KPI⑤ 1株当たり価値
これが最も重要です。
M&Aによって会社が大きくなっても、
株式数が大きく増えてしまえば、既存株主の1株価値は増えない
からです。
27.Exiter独自評価――GENDAの「5年後成功確率」
ここで、今回のシリーズのルールに従って100点満点で評価します。
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| M&A戦略の明確さ | 95 |
| 買収対象との戦略的相性 | 92 |
| 売上成長力 | 95 |
| EBITDA成長力 | 88 |
| 海外成長余地 | 93 |
| IPシナジー | 95 |
| PMI能力 | 78 |
| 財務余力 | 75 |
| M&A依存リスク | 65 |
| 株式希薄化リスク | 70 |
| 総合評価 | 86点 |
28.Exiter予測――5年後のGENDA
私の予測はこうです。
2031年のGENDA
売上高:3,500~4,000億円
調整後EBITDA:500~600億円
時価総額:3,000~4,000億円
を標準シナリオとします。
現在の時価総額約1,385億円と比較すると、
約2.2~2.9倍
です。
ただし、これは株式投資の推奨ではなく、2026年9月6日時点の公開情報をもとにしたExiter独自の5年後シナリオです。
29.GENDAの5年後を決めるのは「次のM&A」ではない
意外かもしれません。
私は、GENDAの5年後を決めるのは、
「次にどの会社を買うか」
ではないと思います。
むしろ、
「今まで買った会社を、どれだけ儲かる会社に変えられるか」
です。
GENDA自身も2026年7月以降、
「M&Aを厳選する」
「中核事業に集中する」
「FCFと借入を活用する」
という方向へ戦略を修正しています。
これは、GENDAがM&Aの第1ステージから第2ステージへ移ったことを示しているのではないでしょうか。
30.「連続的な非連続な成長」は、本当に企業価値を生むのか?
GENDAは自らの成長戦略を、
「連続的な非連続な成長」
と表現しています。
確かに、
2024年1月期:
556.97億円
↓
2025年1月期:
1,117.77億円
↓
2026年1月期:
1,707.87億円
↓
2027年1月期予想:
2,150億円
という数字を見ると、まさに「非連続な成長」です。
しかし、M&Aの本当の勝負はここからです。
31.M&Aの成功とは何か?
M&Aの成功とは、
売上高が増えることではありません。
会社の規模が大きくなることでもありません。
本当の成功とは、
買収価格以上の企業価値を、買収後につくり出すこと。
です。
GENDAが100億円で会社を買ったなら、
5年後にその会社を含む企業価値が200億円増えているのか。
300億円増えているのか。
それとも、
買収費用・借入金利・PMIコスト・のれん減損などを考えると、ほとんど価値を生んでいないのか。
ここを追跡する必要があります。
32.だから「5年後」に答え合わせをする
今回の記事を、2031年にもう一度読み返してみたいと思います。
2026年9月6日。
Exiter予測:
GENDAは2031年に売上3,500~4,000億円
調整後EBITDA500~600億円
時価総額3,000~4,000億円
を目指せる。
という予測をしました。
果たして5年後、
この予測は当たっているでしょうか。
33.結論――GENDAは「M&A会社」から「M&Aを必要としない会社」になれるか
GENDAの最大の魅力は、
M&Aを実行する能力
です。
2018年創業。
60件以上のM&A。
2026年1月期だけで26件。
約1,100店舗。
ミニロケ約13,000箇所。
売上高1,707.9億円。
調整後EBITDA228.4億円。
2027年1月期予想は、
売上高2,150億円。
調整後EBITDA300億円。
ここまでは事実です。
しかし、2031年に向けて本当に問われるのは、
「あと何社買えるか?」
ではありません。
「買った会社の利益率をどこまで上げられるか?」
です。
そして、
「M&Aによって1株当たりの企業価値を増やせるか?」
です。
GENDAがこれを実現できれば、
「日本で最もM&Aが上手い会社」
から、
「M&Aによって世界規模の企業価値を作った会社」
へ進化する可能性があります。
逆に、M&A件数だけを追い続ければ、
「売上は大きくなったが、株主価値が思ったほど増えない会社」
になる可能性もあります。
Exiter予測
GENDAの5年後
成功確率:75%
2031年売上高:3,500~4,000億円
2031年調整後EBITDA:500~600億円
2031年時価総額:3,000~4,000億円
Exiter総合評価:86点/100点
最大の成功要因
「M&A後の利益率改善」
最大の失敗要因
「M&Aによる規模拡大が、1株当たり価値の増加につながらないこと」
5年間で最も注目すべき数字
M&A件数ではなく、M&A後のEBITDA増加額
主要出所・参考URL
GENDA公式IR
GENDAの決算資料、M&A戦略、財務情報については、まず公式IRを確認するのが基本です。
2026年1月期通期決算
2026年1月期は売上高1,707億8,700万円、調整後EBITDA228億3,900万円、M&A26件、連結子会社45社などの実績を確認できます。
2027年1月期 第1四半期
2026年6月10日発表。第1四半期売上高497億200万円、前年同期比45.0%増。通期予想は売上高2,150億円、調整後EBITDA300億円、調整後当期純利益106億円。
PLAYER ONE買収
2025年4月9日発表。100%取得、ゲームセンター104店舗、ミニロケ約2,000箇所、北米売上約440億円規模への拡大。
PLAYER ONEのEV/EBITDA
GENDA自身が2025年4月30日にEV/EBITDA 8.5倍について説明しています。
GENDA「PLAYER ONEのEV/EBITDAマルチプルが割高である理由」
VENU+買収
2025年6月11日。米国VENUplusから約1,100箇所のミニロケ事業を取得。
GENDA「VENUplusからミニロケ1,100箇所譲受」
北米事業再編
2025年9月12日、北米14社を3社へ集約するGENDA Americasを設立。
SBIとの資本業務提携
2026年7月29日。GENDAは2040年に「世界一のエンターテイメント企業」を目指すことを明示。
サンリオとの業務提携
2026年8月24日。GENDAの国内外14,000箇所強のプラットフォームを活用した限定景品などのグローバル展開。
サイバーエージェントとの提携
2026年8月26日。日本発IPとGENDAの国内外店舗・施設を組み合わせたポップアップ、商品企画、プロモーションなどを検討。
M&A方針の変更
2026年7月31日、GENDAはM&A対象をコア事業へ絞り、FCFと借入を活用して選別的にM&Aを続ける方針を説明。
事業ポートフォリオ
2026年8月18日、GENDAは創業以来60件以上のM&Aを実施し、買収だけでなく非中核事業の売却も進める方針を説明。
GENDA株価・時価総額
2026年9月4日終値735円、時価総額約1,384.6億円、発行済株式数1億8,837万8,582株。
※本記事の5年後予測について
本記事の2031年の売上高、EBITDA、時価総額、成功確率は、GENDAが公表した会社予想ではありません。
2026年9月6日時点で公表されている業績、M&A実績、財務状況、M&A方針などを基礎に、Exiter.jpが独自に作成したシナリオ分析です。
実際の業績・株価・企業価値等は、M&A、為替、金利、景気、IPのヒット状況、PMI、資金調達、株式発行などによって大きく変動する可能性があります。

